「病院ではうつ病とアトピーと言われました。いつも疲れていて無気力で不安感があります。時々動悸とめまいがして、不眠でよく夢を見ます。食欲もありません。肌は乾燥していて、ひび割れているところがあります。」
顔色は白く少し黄色が入る。
脈は細くて無力。気血両虚証で、心身ともに弱っている。
この方のうつ病とアトピー性皮膚炎は次のようにして発症している。
仕事が忙しい・気苦労・お付き合いによる食べ過ぎ飲み過ぎなどで脾(胃腸)が弱る。
脾が弱ると消化吸収能力が低下し、飲食物から気と血をつくることができない。
気が足りないと、全身に疲労感が現れ、無気力になり食欲が低下する。
血が足りないと、心(心臓のことで精神が宿る)が働けないため、精神が充実せず不安感が生まれうつ病になる。
また、動悸やめまいがして、不眠(ようやく寝ても夢ばかり見る)も現れる。
血が足りないと肌を養うことができず、乾燥してひび割れるタイプのアトピー性皮膚炎になる。
「病院の説明と全く違いますね。」
東洋医学(中医学)は身近になってきているが、脈診を軸とする東洋医学の診断は、西洋医学のように理解されていない。
うつ病はこころの病、アトピー性皮膚炎は皮膚の病、と別々に考えていては良くならない。
根本は脾(胃腸)の働きの低下にある。
異なる病名だが、強く関連していると診断するのが東洋医学だ。