頭が左右に小さく揺れている。
「あの事(ストレス)を考えてしまうと、右腕が勝手に上がってしまいます。」
と話すと、間もなく右腕が上がっていく。
「最初のうちは頭が揺れるだけだったので、何とかごまかせたのですが、腕が上がってしまうと困ってしまって・・・。」
脈診の結果は肝風内動証。
ストレス単独で起こるのではない。
必ず疲労・睡眠不足などによる陰虚(血と水の不足)が根本にある。
「確かに症状が現れる前の三ケ月ぐらいは、忙しくて疲れていました。そこにあの事があって、身体が勝手に動くようになってしまいました。」
あの事とは上司からの注意指導だ。
陰虚は健忘を起こし判断を誤らせ、仕事に問題を起こす。
そこにストレスが加わると、スイッチが入ったように火が発生し風が起こる。
火と風は頭を混乱させ、身体を勝手に動かす。
何度、カウンセリングを受けても症状が変わらないのは、ストレスは発症のスイッチであって、根本原因に陰虚があるからだ。
この方はカウンセリングでは治らない。
強い火と風を鎮めながら、血と水を増やし、再び火と風が起きないようにする。
心身が落ち着いてくると、上司が言ったことを冷静に考えられる。
ひどいことを言われたのか、自分が受け止められなかったのか。
血と水が心身を癒やし、心身に力が備わったなら、再び職場に戻り頑張れるはずだ。