電話が鳴る。
すぐに切れる。
また鳴る。
切れる。
翌日も同じ。
三日目に電話に出ることができたが、声はしない。
声がしない電話が何度かあった後、声が聞こえた。
ご自身の病名と症状を話され、その原因になったことを話し泣いてしまった。
話の所々は理解できなかったが、精神が病み身体が思い通りにならず、脳萎縮が現れてしまったという内容だ。
夫婦関係で悩み、親子関係で困り、食べられなくなり、食事はお菓子に、さらに食べられなくなりアイスクリームだけになった。
そのころ脳萎縮が確認され、危険と判断した医師にラコール(半消化態栄養剤)を処方されたが、全てを口にできず死を感じる恐怖がこみ上げてしまう。
医師からは、極端なストレスからくる摂食障害による脳萎縮と診断された。
脈診の結果は、脾虚肝乗から現れた腎精不足。
この方は一般的な肝鬱脾虚(ストレスで胃腸が弱る)が始まりではなく、脾虚肝乗(胃腸が弱くストレスに弱い)から始まっている。
胃腸が弱くストレスに過敏に反応してしまい、ほとんど食べられなくなってしまった。
満足な食事が摂れず栄養不良のため腎精不足になり、急速に老化が進み脳が萎縮した。
もうすぐ50歳になるが、ほぼ白髪で髪をまとめているが脱毛が進んでいる。
背は丸く、歯はいくつか抜けている。
体重は31キロ。
肝鬱脾虚と脾虚肝乗は似た症状が現れるが、進行した場合の様子は全く異なり、脾虚肝乗は死を予感させる雰囲気を漂わせる。
肝鬱脾虚と脾虚肝乗の診断は、絶対に間違ってはいけない。
目を閉じると怖く気持ち悪くなる・怖くつらいばかり感じる・突然悲しくなるなど、感情に偏りがありその感情をうまく説明できない。
思考力 認知力 記憶力の低下・身体が思うように動かせない・喋りにくい・ほとんど眠れない・匂いに異常に敏感。
極端な食欲不振・飲食が喉を通らない・みぞおちの痛み 気持ち悪さ つかまれるような違和感。
喉から胸にかけて押し付けられるような閉塞感・胸が苦しい・下腹部が苦しい。
下に落とされる感じがする・横になると腹が沈み込んでいく感じがする。
肛門の下垂感・便が出ないため下剤を使うがベタベタした便が少し出る程度・ゲップやガスをうまく出せない。
首・肩・背の強い違和感・だるくすぐに横になってしまう・一日中横になっている・少し動いた後の疲労感がひどい。
血圧の低下。
苦しい症状はまだある。
いつものように正確に治療を進めるしかない。
治療は、急いで腎の働きを補い脳をしっかりさせ、胃腸の働きを改善し脳に栄養を送り、心身を強くする。
進行してしまった症状であまり時間がない。
時間がない。