玄関からドタバタと勢いよくイスに座る音がする。すぐに母親にイライラしながら話す若い子の声がする。
治療ベットには身体を投げ出すようにして横になる。全身が白くむくみ少しアトピー性皮膚炎がある。
たくさん話を聞かせてくれるが自分の好きなことだけを話しあまり目を合わさない。
脈診の結果は腎精不足。
腎精不足による発達障害である。
腎精不足から陽虚に進行したため発生した湿が停滞し、気滞証を起こしている。
気滞証はすぐにイライラし親子であっても距離ができてしまう。
また陽虚を基にする気滞証なので、イライラしていないときはゴロゴロしたり寝てしまったり活動的でない。
活動しなければ陽虚はさらに進行し気滞証は悪化する。
陽虚のため朝は起きれず遅刻が多くなり、ようやく出掛けた学校では気滞証のためイライラして皆とうまくいかない。
親、先生、友達との関係は崩れていく。
「進路に困っていろいろなところで相談していますが、実際には見通しが立ちません。進路に向かって早めに準備をしたいのですが・・・。」
現状では壁が多いが、少しイライラが減り落ち着いて考えることができれば、周囲の様子が変わってくるのは事実だ。
進路に悩み、進学や就職など環境の違いに対応できず、社会と大きな距離ができる前に、落ち着きがでると安心だ。
そうでないと陽虚に進行した発達障害は、長く引きこもる可能性がある。