「顔の中でも上半分に、上半身でも上半分に赤みの強い盛り上がったアトピーがたくさんできました。特に顔が気になって外出するのがちょっと・・・」
脈診の結果は、肝火。
肝火によるアトピー性皮膚炎です。
肝火は日々の困ったことや嫌なことに、気持ちが耐えられなくなったときに現れる肝の激しい炎です。
肝の変化を判断するときに見逃していけないのが、ストレスに強い肝なのか、ストレスに敏感な肝なのかの見極めです。
この方はもとから肝血虚(血が少ない)のため肝の力が弱く、ストレスに敏感で肝火が発生しやすい様子です。
治療は肝火を取り除くことが第一になりますが、この方法は血が少なくストレスに敏感な肝には負担になります。
理由は肝火を取り除くことを続けると、肝に血を送って肝の恒常性を保つ脾(消化器)の温度も下がってしまい、脾は血を作ることができなくなり、さらに肝の血が減少しストレスに敏感になり、再び肝火が激しくなります。
肝火を取り除くことだけを考えず、常に胃腸の温度が低下していないか確認することが大切です。
脾の働きを元気にしながら日々の食事から血を作り、その血を肝に送り肝火を鎮め、脾の温度を確かめできる範囲で肝火を取り除くようにし、慎重に慎重に治療を進めなければいけません。
またこの方は腎精不足によるグレーゾーンの発達障害が隠れているため、肝火を鎮めるだけの治療をしていると、腎の温度も下がってしまい腎精不足の進行が始まり、発達障害によるコミュニケーションの問題が表面化しストレスを多く感じるようになり、そこから肝火が再び強くなりアトピー性皮膚炎を悪化させてしまいます。
腎の力が弱い(腎精不足)と、腎の力を借りて働く脾が弱くなり、肝に必要な血を作れず、肝火が抑えられないことになります。
肝火によるアトピー性皮膚炎の治療は、その方のストレス耐性と発達障害が隠れていないかを見極めることが大切です。
同時に各臓器の様子とバランスを見極めなければなりません。
そのために必要な診断法が脈診です。
細かくて少し分かりにくい話になってしまいましたが、東洋医学の治療は日々このように行われています。