「病院に入院をして断食を行ない、その後も医師の指導のもと定期的に断食を行なっています。普通の食事に戻すときも指示通り行っていますし、いつもの食事も気を付けているのですが。」
断食で胃腸を休め、アトピー性皮膚炎を治そうとする病院や施設が増えているようだ。
「食べないとアトピーが良くなって食べると悪化して、これを何年も繰り返しています。それとこの二年くらいは肌の乾燥が強くなり、肌の色が黒っぽくなってきました。」
脈診の結果は、湿熱と血虚によるアトピー性皮膚炎。
湿熱が肌にあふれ、黄色の滲出液と赤い腫れと痒みが現れている状態で、とても苦しい。
食べれば、弱い胃腸ではうまく消化吸収できないため湿熱(炎症)が発生し、アトピー性皮膚炎は悪化する。
食べなければ湿熱は現れず、アトピー性皮膚炎は良くなる。
胃腸虚弱が原因であるから、胃腸の働きを強くすることが根本治療である。
断食で胃腸を休めることとは全く違う。
それなのに食べないことを繰り返したため血を失い(血虚)、肌は浅黒く乾燥し表面はひび割れ、血が全く通わない所は灰色になり肥厚する。
髪も潤いを失い乾燥し逆立ってくる。
再び食べると湿熱が発生しアトピー性皮膚炎は悪化するので、さらに断食を繰り返すと月経が停止する。
「しばらく生理はきていません。それに象の皮膚のように灰色で厚くなった所があります。別の皮膚科の先生には治りにくい症状だと言われました。」
断食が有効な病はある。
断食が有効な時期もある。
しかし対症療法であり根本治療にはならない。
だからやってはいけない病がある。
やってはいけない時期がある。
適切な診断を基に行なわなければ、この方のように無月経や難治性の皮膚病になる。
「それでは治療を始めましょう。○○さんに必要な養生法(生活法・食事など)は、メモに書いてお渡ししますから、少しずつ行なってください。難しいことはありませんよ。」
アトピー性皮膚炎だからといって、特別なことをしたり特別なものを塗ったり特別なものを食べることはしない。
普通の飲食をしっかり消化吸収ができる胃腸にするために、養生と治療を行なう。