「全身が赤く乾燥し掻くと少し出血して、線や点のかさぶたができます。」
脈診の結果は血熱血燥。
血が足りないため熱を抑えられず、血が足りないため肌が乾燥する。
血が足りないのでかき傷の出血はわずかで、かさぶたは線か点になる。
滲出液は出ない。
「朝が起きられず、朝ご飯も食べられません。」
これがこの方の根本原因である。
胃腸の働きが悪い方の典型的な症状で、胃腸の気が足りないため、朝が起きられず朝食が食べられない。
昼夜は食べられることが多いが、胃腸の働きが悪いため血を作ることが苦手だ。
このため常に血が不足し血熱血燥が発生する。
よく見られるアトピー性皮膚炎だが、この方は診断を間違えたので難治化している。
医師からは蓄積したステロイド剤が原因と診断された。
肌の熱を冷ますための漢方薬と、ステロイド剤を排出するために通じを盛んにする漢方薬を服用している。
胃腸が弱く血を作り出せないこの方が、熱を冷ます漢方薬を使うと、肌だけでなく胃腸の温度も下がってしまい消化能力が低下する。
通じを盛んにする漢方薬を使うと、通じと一緒に気(消化する力)が抜けてしまい、さらに胃腸の働きは低下し血を作れなくなる。
結果として血の減少が激しくなり、血熱血燥は長期化・難治化する。
診断の難しくない症状に対し、マッサージ・整体で血行を良くし血熱を悪化させ、腹を温め血熱を悪化させ、激しく発汗させ血燥を悪化させ、瀉血をし血を騒がせ(血熱)血を減らし(血燥)、朝鮮人参・プラセンタ・カキエキス・肝臓エキスなどの栄養過剰で脾(胃腸)を弱らせる。
そして診断違いの漢方薬。
これらのことは、医師をはじめそれぞれの専門家がこの方に対して行なったことだ。
この方は自分の身体の中で起きていることを知らない。
診断のない東洋医学の現実だ。