額の生え際から耳周りの地肌が赤くなり、その部の毛髪は無くなっている。
赤み・腫れ・少々の乾燥が混ざるアトピー性皮膚炎が、身体のあちこちに広がっている。
「病院で脱ステロイドと同時に、漢方薬と生薬で作った軟膏で治療を始めましたが、赤みがなかなか治まらず額や耳の周りが脱毛してしまいました。」
脈診の結果は血熱と血燥が混じり、血熱がかなり強い。
血熱のため毛根が焼かれ脱毛し、血燥のため新しい毛髪が生えない。
赤みが強いところの一部に光沢がみられる。
赤くて分かりにくいが白斑があるはずだ。
赤みが治まるとロウソクのように白い白斑が現れ、そこには一本の毛髪もない。
脱ステロイドを行なおうとする理由は分かるが、止める時期はきちんとした診断で決める必要がある。
この方は肌の熱が非常に高いときにステロイド剤を中止したため、さらに肌の温度は上昇し毛根は焼かれ脱毛し、血液も焼かれ難治な白斑が発生してしまった。
白斑部の脱毛にはきちんとした治療法があるが、早く見つけ早く治療を開始しないと間に合わない場合がある。
赤みがひいてから白斑を確認していては、治療が難しくなる。
アトピー性皮膚炎と白斑と脱毛の治療を行なうことになるが、時間の余裕はあまりない。
脱ステロイドを第一の目的にしてはいけない。
本当にいけない場合があるのだ。