30歳で生理を失ったアトピーの患者さんと臓燥

「この数年、生理がありません。まだ30歳になったばかりなんです。」

肝の血が足りない。

身体は痩せ、顔は赤く腫れ表面の乾燥が目立つ。肝の血と腎の水が足りない。

手足を投げ出すようにバタッバタッとベットに横になる。腎(婦人科)の変化が大きい。

肘から手指にかけて、薄い赤みと乾燥と落屑と少量の滲出液が混ざる。胃腸の働きが弱い。

「悲しくて涙が出てしまう時とイライラする時があって、気持ちがとても不安定です。心療内科で診てもらっています。」

心と肝の変化が大きい。

脈診の結果は心肝血虚で、全身の栄養状態が悪い。

アトピー性皮膚炎の改善のため食事を指導してもらっているようだが内容が悪い。

アトピー性皮膚炎の原因は農薬・添加物・薬・汚染物質にあると考え、このようなものを含まない食材とサプリメントだけを摂るようにし、症状が悪化すると食事を極端に制限したり断食をする。

これでは胃腸はしっかりせず退化し血や水を作り出せない。

やがて閉経し精神は病み臓躁(精神の不安定)になる。

すぐに涙を浮かべすぐにイライラし(臓躁)、心配してくれる人たちは離れていき一段と不安定になる。

このような方法でアトピー性皮膚炎を治療し、婦人科の機能を失った人・精神が病んだ人をたくさん診ている。

アトピー性皮膚炎だから膠原病だから難病だからというだけでこの方法を行なっている。

そしてすべての人が診断をしてもらっていない。

もともと食べ物を受け入れる胃腸が弱く発症したアトピー性皮膚炎なのに、原因が体の外(農薬・添加物・薬・汚染物質)にあるとして食事の管理を行なったため、全身の栄養状態が悪くなり心肝血虚を発症し心身ともに病んでしまった。

うまく消化できない胃腸では、食べると肌は悪化し、食べないと肌は良くなる。

ここだけを見て食べないことを治療の柱にすると、血を必要とする婦人科や精神は病む。

血を失ったこの方の婦人科は機能していない。

血の材料の水も失っているため萎縮が始まっているだろう。

こちらの治療はとても時間がかかる。

顔の赤い腫れと乾燥は血と水を失ったために現れるオーバーヒートで、婦人科の問題と直結している。

血を失った心と肝は精神異常(臓躁)を引き起こす。

アトピー性皮膚炎も閉経も精神異常も血が足りないことが原因で、生来の胃腸の弱さが根本にある。

東洋医学の診断は発症した病とそこから広がる病の原因を見極めることができる。

一つ一つが関連の無さそうな症状でも、一人の体に現れた病はつながっている。

涙が止まらない。

この方の今の涙は臓躁の涙ではない。

苦しんでいる人の涙だ。